レジェンド女優・ほたる 「四天王に口説かれ、喧嘩して…」

レジェンド女優・ほたる 「四天王に口説かれ、喧嘩して…」

 佐藤寿保、サトウトシキ、瀬々敬久、佐野和宏の4監督は1980年代後半にデビューし、ピンク映画の低迷期を支えた。単調な濡れ場が続くピンク映画のセオリーに反抗し、作家性の強い個性的な作品を次々と発表、「ピンク四天王」と呼ばれた。

「いるだけで画になる女優」と評されるピンク女優・ほたるは、サトウ監督、瀬々監督作品に出演し、俳優として佐野監督とも共演している。これまでの出演総数は100本以上、今も現役のレジェンド女優に4人との思い出を聞いた。

 * * *

 高校生の頃から舞台鑑賞が好きで、多摩美術大学入学後に舞台美術をやりたくて劇団に入りました。舞台にも2、3回は出た頃に知人が「ピンク映画は面白いし勉強になるよ」と教えてくれて、そんな時に瀬々監督の助監督さんから「ピンク映画に出てくれる女優はいませんか」と劇団に連絡があったんです。

 面接後、すぐに瀬々監督の『未亡人 喪服の悶え』の出演が決まりました。裸になるシーンがあることは知っていましたが、その抵抗感より「こんな体でいいの?」という不安が強かった。当時もピンク映画にセクシー女優の綺麗で体の良い子が出ていたので「畏れ多い」と思って。

 その作品は、秩父困民党をモデルとしていて、主演の佐野さん演じるエロ坊主が小さな農村のヒーローと間違われて民衆とともに政府に反抗するってテーマ。

 エキストラを大量動員して一揆を起こすんですが、見るもの全てが新鮮ですごく面白くて。それに瀬々監督といえば“ロケ地の神様がついてる”って言われるほど見栄えのいいロケ地を見つける達人なんです。一揆を撮影した河原やごく普通の路地まで、すごくしっくりくるロケ地ばかりでした。

 最初はピンク映画に出るのは1作だけだろうって思っていたけど、トントン拍子で次の作品が決まり、3作目ではトシキ監督とご一緒しました。

 トシキ監督の『団地妻』シリーズで「夫の帰りをビールを一口飲んで“ただ待つ”女性」を演じてる時、なかなかOKが出なかった。30〜40テイクくらい練習してようやくOKが出て。トシキ監督はとにかくOKを出さずに粘る人でしたね。

 佐野さんとは、俳優として何度も共演しました。とても色気のある方で、打ち上げの席であらゆる女優を口説いてた(笑い)。「お前のここがダメだ」って落とすんだけど、最後は褒める戦法で。

 で、寿保監督とはなぜか仲が悪くて、飲み会で鉢合わせると毎回喧嘩してた。でも「ゆうばりファンタスティック映画祭」で、数年ぶりに再会した時、「あの時、なんであんなに喧嘩してたんだろうね」って話したので、和解かな(笑い)。

 私は大学でサークルに入らなかったので、ピンク映画はまさにサークル感覚。仲間意識が強かったですね。今はピンク映画の制作本数も映画館もどんどん減ってきてるけど、いつまでもこの世界が続いてほしいですね。

●ほたる/福島県生まれ。多摩美術大学在学中より葉月蛍名義で女優活動を開始。1993年、瀬々敬久監督『未亡人 喪服の悶え』で映画デビュー。2007年に「ほたる」に改名。2013年には初の監督作『キスして。』を劇場公開。現在、35ミリ短編監督作『いつか忘れさられる』の公開準備中。

■取材・文/河合桃子

※週刊ポスト2018年12月14日号

引用元