ビリー・ムーアの壮絶な自伝小説を映画化 「暁に祈れ」を採点!

ビリー・ムーアの壮絶な自伝小説を映画化 「暁に祈れ」を採点!

〈あらすじ〉

イギリス人ボクサーのビリー・ムーア(ジョー・コール)はタイで麻薬中毒になり、警察の家宅捜索を受けて逮捕される。収監されたチェンマイの刑務所は、足の踏み場もないほどの囚人たちで溢れており、殺人、レイプ、汚職が横行していた。死と隣り合わせの地獄のような毎日に、ビリーは希望を失いかけるが、所内に設置されたムエタイチームに一縷の望みをかける。ビリーは練習に打ち込み、外国人選手として初めて全国大会に出場する権利を獲得する。しかし、ビリーの肉体は長年の不摂生により悲鳴を上げ始めていた。

〈解説〉

原作は世界的ベストセラーの自伝小説。ムエタイを通じて男が再生する姿を描く実録映画。脚本・監督は『ジョニー・マッド・ドッグ』のジャン=ステファーヌ・ソヴェール。117分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★☆☆☆私の苦手な呪術的タイプの刺青男たちの群れと“不良白人”。この場面が長くゲンナリ。やさしい気持ちになれなかった。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆刑務所映画や格闘技映画の定石を踏みつつ、悪夢を間歇的に噴射する作法が図太い。環境の酷烈と人相の悪さは特筆もの。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★★☆隙間なく床に寝転ぶ刺青のある男たち。その蠢く光景は強烈に怖い。己を救う方法を見つけたビリーの表情の変化に注目。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★★☆体温の高い獣性が抑圧から希望に旋回する。ハードコアな暴力の世界の中、混沌を突き破るファイトの澄明さが眩しい。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆観る者を地獄絵に引き込む没入感。肉体へ執拗に迫るカメラ。観終わってからも尻切れたトカゲの尻尾のように脈打つ。

暁に祈れ』(仏、英)

12月8日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開

監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール

原作:ビリー・ムーア

出演:ジョー・コール、ヴィタヤ・パンスリンガム、ポンチャノック・マーブグラン、ソムラック・カムシン、パンヤ・イムアンパイ ほか

http://www.transformer.co.jp/m/APBD/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年12月13日号)

引用元